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東京高等裁判所 昭和58年(ネ)2782号 判決

以下は、判例タイムズに掲載された記事をそのまま収録しています。オリジナルの判決文ではありません。

【判旨】

まず、控訴人らの本案前の主張につき判断すると、原審記録により次の事実が認められる。

一本件訴状副本及び昭和五八年六月二三日午前一〇時の口頭弁論期日呼出状は、控訴人江守栄に対し肩書住所に、控訴人江守秀次に対し東京都世田谷区下馬六丁目二三番一八号の住所にそれぞれ宛て特別送達に付してなされたが、いずれも、受取人が不在であり郵便局の保管期間経過のため返戻された。

二そこで、被控訴代理人の上申により、訴状副本及び同年八月二五日午前一〇時の口頭弁論期日呼出状は、控訴人らの就業場所として当審における控訴人らの主張一の場所に宛てそれぞれ特別送達に付されたところ、その郵便送達報告書によれば、右送達場所で、事務員、雇人又は同居者である前田毅(同事件の相被告となつている。)が各書類を同月八日に受領したこととなつている。

三右期日に控訴人らは出頭しなかつたが、口頭弁論は終結され、同年九月八日午後一時の期日に当事者双方不出頭のまま原判決が言い渡された。

四同判決正本は、控訴人らに対し、いずれも前記二の場所に宛て特別送達に付されたところ、郵便送達報告書によれば、雇人である前田毅が同書類を同月一〇日に右送達場所で受領したことになつている。

ところで、<証拠>を総合すれば、当審における控訴人らの主張二の事実のほか、控訴人江守栄の妻及び控訴人江守秀次は、昭和五八年六月上旬ごろ訴外前田満智子(控訴人らの実母で訴外会社の代表取締役前田亨の後妻であり、同会社の監査役でもある。)より「近く裁判所から郵便物が配達されるかも知れないが、その問題はうちの方で解決ずみだから郵便物は受け取らなくても良い。」との電話連絡を受けたので、前認定一の書類を保管中の指定郵便局に受領に赴かなかつたこと、前認定二、四の各書類は、いずれも郵便送達報告書に記載のとおり前田毅が受領していること及び原判決の執行力ある正本に基づき控訴人江守栄所有の土地建物につき昭和五八年九月一九日付で強制競売開始決定がなされ、右決定正本が送達されて、同控訴人が弁護士に依頼して調査した結果、初めて控訴人らは本件訴訟の内容を知るに至つたことが認められる。<証拠>中この認定に反する部分は前記証拠と対比して措信し難く、他に同認定を動かすに足りる証拠は存しない。

以上の認定事実によれば、本件訴状副本、口頭弁論期日呼出状及び原判決正本はいずれも控訴人らに対し適法に送達されていないのであるから、控訴人らに関する原審の口頭弁論手続はすべて違法であり、これに基づく原判決も違法というべきである。

(田中永司 宍戸清七 安部剛)

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